第2章 胡蝶蘭~すべてのはじまり~
城にて、通された部屋に六花はうつ伏せになり、背中を見せざるを得なかった。
「とりあえず、見るから」
「...」
こくんと頷いた。
痛みが先程よりも増しているのか、意識が朦朧としているようだった。
着物を持っていた懐刀で裂くと、背中には大きな刀傷と...その綺麗な背中には見合わないような痣が何個もあった。
その痣を見ていると家康は顔を顰めた。
「刀傷...深いですね。刀傷の影響で後で発熱すると思います」
「そうか。この痣は...」
「恐らくは...随分前のだと...思われます」
痣の出来方が最近の新しいものでは無いと確信した結果だった。
信長も刀傷だけじゃない痕になんとも言えない顔をしていた。
「家康。後で軍議を行う」
「わかりました。その時に報告すればいいですか?」
「あぁ」
そう言うと信長は部屋を出ていった。
家康もその後に続き出ていった。