第2章 胡蝶蘭~すべてのはじまり~
それからというもの、すぐに馬の所へと向かい、安土へと向かっていた。
しかし、道中、六花は信長に乗せられていても傷が痛むのか手を強く握りしめていた。
「...もう少し我慢しろ」
「...」
返事さえも出来なかった。痛みが増していたからだ。
その様子に光秀も秀吉も何も言えなかった。
傷がかなり響いていると感じていたからだ。
ただ、他のふたりは馬に乗られて気絶していた。
かなり早かったのだろう。
ただ、六花だけは傷のせいで気絶する所では無かった。
「秀吉。家康には伝えているのか?」
「あぁ、御館様が言ったからな」
そう、信長はここを発つ前に、家康へ傷薬など用意をしておくように申し付けをしていた。
あともうひとりの武将にも安土へ来るようにと。
「あの女は傷が深いみたいだな」
「...」
秀吉は答えることは無かった。
信長に刃を向けるものなら切り捨てようとしていた。
だが、傷を負った女をほっておくほどまだ腐ってはいなかった。
そうなこんなしているうちに安土城へと帰還していた。
「...信長様」
「あぁ、家康か。こやつを診察しろ」
「この女ですか、怪我したのは」
「あぁ、もう少し我慢しろ」
そういい、信長は馬から降り、六花を横抱きにし、城へと入った。その隙に家康は秀吉たちに話しかけた。
「あの、なんであの女は怪我を...?」
「信長様を庇ったそうだ」
「は...??」
信じられないという顔つきになった。
信長を庇ったなら刀傷だろう。
女に刀傷は痛々しい。
そう思いながら各自城へと入った。