第2章 胡蝶蘭~すべてのはじまり~
「...?」
六花はなんの事だと問いかけそうになった。
目の前には先程名乗っていた男の他にふたりの男。
六花はそれにはなんの興味も示さなかった。
「......」
「お前が御館様を庇って怪我をしたのか」
「は?」
「秀吉。先程から言っているだろう?御館様を庇い傷を負った者がいると」
「なっ!!、」
「...あの、何かおかしいですか」
「いや、見れるようになったな」
「......」
六花は信長に、対して返答もしなかった。
余程傷が痛むのだろう。
「どこを怪我されたのですか?」
「......背中」
「りっちゃん、見せたがらないもんね」
「見せるもんじゃないから...見たくもないでしょ」
そう。六花は背中を見せることは誰に対してもしなかった。
それこそ、嫌な記憶だからだ。
「六花と言ったな?」
「......」
六花は返事は返さなかったが頷いた。
「貴様も共に来い。安土へ帰る」
「......」
またもや、頷いた。
きっと六花は選択肢はないだろうと思ったからだ。