第7章 阿吽の錦
驚きを隠せず顔をあげた紫娜の前には
いつもの温かみのある叔父の顔だった
「わ、私は母上以外は好きじゃありませんでした」
緊張がいきなり緩んだせいか舌をひどく噛む
「父上も兄さんも当時は恐怖でしかなかったです ...でも今は自分が気づかなかっただけであって母上のように愛情があったことが分かります」
自分の言ってることが正しいのかわからなくなり少し顔が赤くなる
心が完全に治ったわけじゃない
そして三年前に起こったことを忘れたわけじゃない
「西は東の最後を誰よりも悲しく思っている
失った命の責任は一人で負えるものでは無い
わしは家族でも使命を果たしたお前を誇りに思う
ここにいる全員が紫娜の家族だ それを忘れるな」
「わしもお前に二つ言うことがある」
感謝を述べようと思った紫娜の口はあの字が漏れていた
「お前、わしが紫娜のこと嫌いだと思っているようだが嫌いなのは兄だけじゃ」
全て見透かされていたことにようやく治まって来た赤みがまた色を増す
「それといつかその狼の顔を見せに来なさい」
ニカッと笑っていた
つられて#NAME1も笑えた
「ありがとうございます!」