第7章 阿吽の錦
「おい、紫娜、紫璃、いつまで休んでる」
空気がピリつく
声の主は悠大だった
声が低く紫娜よりも一回り大きい
「そんなに暇なら相手してやる 来い」
2人の足に運びが重くなるがこれ以上怒らせる訳には行かない
池より少し離れたところ
そこは中庭の訓練場だった
木刀が渡される
悠大は八相の構え
紫娜は居合の構え
紫璃の合図によって始まる
しばらく響くのは木刀がぶつかり合う音
高く響くのではなく低く、けん玉のような音
真剣じゃないため手への振動が重く伝わる
中国古来から伝わった剣舞のような動きには紫娜の焦りと悠大の余裕さが滲み出てくる
「甘い」
紫娜が使う刀が飛ぶ
息が切れている紫娜とは裏腹に悠大は少し汗をかく程度だった
飛んだ木刀を拾う悠大
「紫遊雅や某の叔父 いや、そなたの父のような剣さばきの面影はあるが少々独特 故に馴染んでいないようにも見える」
二本の木刀を片手に去っていく悠大
「兄さん俺とは?」
「お前の力などわかりきっている
それと紫娜!父上がお呼びだ」