第7章 阿吽の錦
「どゆこと?」
二人の銀の髪が風で揺れる
紫璃のほうが少し長い
「お前は三年で甲に行ったが俺は次で甲だからすぐに追い抜いてやるからな!覚悟しとけよ!」
「すごいね紫璃はもう甲なんだ...
東京の県境は鬼が多いから大変だね」
紫娜に褒められたことでまた顔が赤面する
錦家は柱ほどの実力と旧華族の名誉を兼ね揃えているが柱になったものは未だにいない
「おめぇ...なんでいつも泣いてたんだよ」
紫璃が小さくつぶやく
「なんか言った?聞こえなかった」
「なんも言ってねぇよ
お前さ...す、好きなやつとかおんの?」
首を傾げたあと前を見つめる
誰かを見上げるように
「いたよ
暖かくて優しくて強くて...
最期まで私を守ってくれた人」
また不機嫌な顔をする紫璃
だが察した
それが使用人の中で噂になっていた炎柱という男だということに
「紫璃は?」
「え、っちょ お、俺はてっ鉄壁!」