第7章 阿吽の錦
池は昼間のサンサンと降る光に照らされて眩しかった
二人は面を外す
紫璃の面は綺麗に手入れされているが
紫娜のはボロボロだった
そんな面を見た紫璃は負けている気がした
「お前なんでそんな手入れしてねぇん...あ...
す、すまない」
察して謝る紫璃
手入れをしていない
じゃなくて
手入れが出来ない
「ここで手入れの道具借りてもいいかな?
でも私手入れの仕方教わる前にみんな死んじゃったからなー」
以前ならこんなに軽く話すことはできなかっただろう
シグに打ち明けたおかげで空っぽの心に燃料が入った
「そ、それだったら俺を頼ってもいいんだぜ?
まぁ暇じゃねぇがそんなに言うならやって...
「平気だよ シグにも教えてもらうし
それに紫璃...教えるの下手でしょ?私と一緒で」」
紫璃が不機嫌な顔をする
抜けている割には言う言葉が鋭い紫娜に何も言い返せず、それは喧嘩に負けた子のようだった