第7章 阿吽の錦
二ヶ月がたった
ようやく動かせるようになった体は以前よりなまっていて反射速度がだいぶ失われていた
ただひとつ言えるのは
家族や大切な人を失った悲しみからやっと前を向けるようになった
「おい紫娜!やるぞ!」
やるぞ の言葉が 殺るぞ でないことを願う紫娜
西ノ錦は予め継承者が決まっていないため兄弟のなかで争わせ、最後まで残ったものが西をつぐことになる。西は6人兄弟で今のところ継承者と考えられているのは長男の悠大だった
開けた場所で二匹の狼が舞う
耳に残るような剣がぶつかり合う音は西の敷地中に響いていた
やっと動かせるようになった紫娜にとって
全集中の常中がやっとである
「いッ....」
「え、おい!すまねぇ大丈夫か!」
「引っかかるなって」
隙を見せた瞬間に首に刀を向ける
舌打ちをして落ちた刀を拾っている
「きたねぇぞ紫娜!
なんでずっと寝てたお前に勝てねぇんだよ」
「紫璃は動きが単純だし性格も単純だから?」
「う.....」
言葉でとどめを刺す
紫璃(しあき)は次男坊で紫娜と同い年だった
二人で池を眺めるように座った