第6章 悪夢
紫娜が気づいた時には煉獄の腹に猗窩座の右腕が貫通していた
上弦の参にしか集中してなかったからまさか煉獄さんから押されるとは思わなかった
伊之助さんが受け止めてくれたけど
教えてよ...
どうして
「あああああああああああ」
「オオオオオオオオオオオ」
頸を
切らなきゃ
「伊之助動けーー!!
煉獄さんのために動けーー!!」
動かない足に鞭を打ち紫娜の刀は頸に当たった
が
衝撃音と煙に飲まれ三人の刃は届かなかった
何を話してるの?
目の前にいる煉獄さんと炭治郎さんが話してる
聞こえない
耳が聞こえない
背中に流れる血が温かい
面を外す
守れなかった
煉獄さんが
炭治郎さんの声がなかったら動けなかった
「紫娜」
耳が声を捕まえる
「どうしてあの時...押したのですか...!」
声は和やか
溢れた涙で視界が歪んでいる
「紫娜少女...君を死なせたくなかった」
残りの力で抱き寄せてくれた
「泣くな紫娜 笑った君は美しい」
夜が明けた
私の背中にあった煉獄さんの手はもう冷たくて
静かに眠っている