第6章 悪夢
「どうしてそんなこと言うんですか?!」
自分でも分からない
「そんなこと...悲しいに決まってるじゃないですか!3年前のことからやっと前を向ける気がしたんです!煉獄さんのおかげで!」
「...すまない錦少女...俺らしくなかった!」
「...もういいです。明日に備えて煉獄さんも早く寝てください」
錦少女は涙目だった
* * *
「錦少女!乗り遅れてしまう!急げ!」
「本当にすいません!!」
慌ただしく藤の花の家から出て、駅に向かう
昨夜の事があって全く眠れなかった
煉獄さんの影を兄さんに被せてしまう自分がいる
片目だった兄さんの目には父上への恐怖の色だったけど心が熱かった
ギリギリで乗り込んだ列車は速度をどんどんあげていく
「本当に朝起きるのが遅くなってすいま...って え!?」
隣に座っているのは確かに煉獄さんである
しかし何十箱もの駅弁があった
「錦少女も食べるか?」
うまい!を連発する煉獄さんをじゃなできるわけないですよ
「遠慮しときます」
鬼の気配はするけどそれは煉獄さんもわかってらっしゃる 問題なのはどこから気配がするのか、人の血の匂いも朧気だということ
面を取りだした
真っ白な面に青い模様がある
面をつけて思い出した
「...遺書」
父上からの遺書をまだ読んでない
煉獄さんは隣で目をカッチリ開けながらうつらうつらしている