第5章 炎と柱と
朝目覚めると椿が隣で寝ていた
昨日は気づかなかったのに
うつ伏せで顔が潰れてる
手も小さくて
それでもまだ始めたばかりの練習にはついてこれている 歳に関係なく肺の大きさも考慮していない練習なのにずっと笑顔で
努力家なのだ
焦っているようにも見える
山に置き去りになったことや暴力を受けたことが椿をそうさせているんだと思うと
自分の力不足が感じられる
「?おはよう」
片側のほっぺを撫でていたら
起こしてしまった
「椿は頑張り屋さんだから煉獄様の継子になれるかもしれないね」
あと4年も経てばある程度骨格がしっかりしてくるから呼吸も今よりも精度化されて強くなれる
なのにその顔は喜んでいない
「紫娜さんじゃだめなの?」
今にも泣きそうなのを我慢している
「煉獄様は優しいけど、紫娜さんがいい...!」
なんで気づかなかったんだろう
私だけじゃない
椿は生まれた時から
誰にも甘えることができなかったんだ
だからずっと必死で頑張ってきてくれてたんだ
「椿...私はどこにも行かないから」
その一言を言うと
今までにない1番の笑顔を向けてくれた