第5章 炎と柱と
目覚めると見慣れない天井に
右手は椿が握っていた
「おはよ」
声をかけてみる
椿の安心した顔
なんで自分がここにいるか全く覚えてない
何してたんだっけ
煉獄様と戦ったっけ
あれ、ほんと何してんの私
「目覚めたか錦少女」
声の主はわかる
煉獄様なんだろうけど合わせる顔がない
問題なのは全く覚えてないということ
何したんだろう
絶対やらかしたやつじゃん
左側を向こうとすると
お腹がズキズキ痛む
「ッ...!」
鈍い痛みが走った
「落ち着いたか?」
もう日が沈み始めていたころだった
話を聞いた
布団があって良かったと思う
今、その布団で顔を隠している
胡蝶様の前で泣いてからおかしい
全て空回りしてる
今までのこと全部が溢れて
全部溢れてきたものの量に追いつけずに
プツって何かが切れる
「腹を蹴ってすまない!」
寝起きに悪!この人の声!
「だいじょーぶ?紫娜さん?」
こんな小さい子に何心配させてんだ
「それより大丈夫でしたか?」
大丈夫じゃなかったら大事だけど...
「いや、危なかった!あのまま続いていたら間違いなく倒されていた!」
「本当にすいませんでした...」
「錦少女こそ大丈夫か?」
今度はあまり大きくない声で優しい声だった
「胡蝶様と話してからずっとおかしくて
ずっと過去と向き合っていなかった分の代償がきたような...」
自分よりも傷ついている人がいる
その人のために自分の命を捨てる覚悟でいたのに、最近は自分も被害者だって気がしてそんな自分が憎らしい
被害者ぶってただ逃げたいだけ
そうとしか思えない