第1章 出会い
どうしても寝付けない
誘いなんて乗るんじゃなかった
少し夜風に当たろうと部屋を出て渡り廊下の所に座って月を眺めていた
「姉さん」
え?
振り返るとそこには弟がいた
私を憎む弟
私が憎む弟
「姉さん」
弟が笑いながら近づいてくる
鬼殺隊の甲なのに体が動かない
久しぶりに緊張している自分を感じ少し驚く
「姉さんのせいでみん「黙れっ !!!」」
風が髪を少し浮かせた
心臓の音がやかましい
汗が滴り落ちる音でさえ聞こえてきそうな静寂に飲まれそうで...
そうだ。誰もいない
いつもの、いつも通りの幻覚だ
「はぁ...はぁ...」
決まって見るこの幻覚は本当は本人なんじゃないかと思う時がある
それでも幻覚じゃないと信じたいのは
弟を憎みきれていないから
「あの...?大丈夫ですか?」