第4章 蝶と柱
昨日貰った遺書を読む
兄さんのはなにか入っているようで分厚いが父上のはとても薄い
兄さんの手紙の封を切ると中からは心当たりのあるものだった
「私の髪...」
手紙には筆で綴った綺麗な状態の紙とは別に鉛筆で書かれた紙があった
[紫娜を戦場に持っていくことは出来ない]
今思うと本当になんで髪なんかあげたんだろう
私は兄さんのことを好きでもなかったくせに
でも、戦場には持っていけない...の部分に共感することができる
髪はその人の一部だったから分身のようにも思えるし確かに持っていきたくはない
本当になんであげたんだろう(2回目)
当時の自分の馬鹿さが痛いほど実感して恥ずかしくなってくる
綺麗な紙の方には大して書かれていない
ただ錦の墓に埋葬してくれと
父上の影響で兄さんは私と紫遊佐には厳しかった
兄さんを好きになろうとしたけど突き放されることが怖かった
でも兄さんの遺書から
兄さんは私のこと嫌いじゃなかったと
勘違いしてもいいのかな