第15章 しのぶれど
「....おい!てめェ聞いてんのか」
「あ すいません聞いてませんでした!」
どうしよう
顔が熱い
この気持ちはなんだろうっていうほど
自分の気持ちに鈍感なわけじゃない
でも私は...
「てめェさっき止めれただろ
なんで止めなかったんだよ」
さっき?あ、炭次郎さんを殴ったことか
え?じゃあ止めてほしかったってこと?
「炭次郎さんはもちろん優しいですが
なんというか...馬が合わなくて...止めなくていいかなって」
なんかここだけ聞くと酷い人みたいになっちゃう
「ハッ...紫娜てめェやっぱ面白いな」
わ
どうしよ
急に名前呼ばれたからびっくりしたけど
始めて笑ってるところ見た...
駄目だ
今じゃない
自分の気持ちに気づけたとしても
今じゃない
押し殺さなきゃ
大丈夫...慣れてるんだから
「不死川さ_____
その時言っておけばよかった
そうだよ
自分の気持ちに正直になること
煉獄さんがせっかく教えてくれたのに
結局なれないまま...なのかな...?
「なんだァァこれはァ」
でろんと不死川さんの手に握られた
肆とかかれた目
全ての私を構成するものが言った
"産屋敷に戻れ"と