第15章 しのぶれど
_____柱稽古
「_______雫波紋突き 木枯らし颪」
重い木刀の音を掻き消すように
風の音が耳に殴りかかる
西からも帰り道
まだ距離はあるが私のところまで余韻がくる
近くにあった木から覗ける距離で
富岡さんと実弥さんが練習しているところ初めて見た
もちろん仲よくやってるわけじゃないのはわかるけど
いつも刀で出される威力の技に耐えきれなかったのか
二人の木刀が割れてしまう
「お二人で_________
「ちょっと待ってください 殺しあってらいけませんよ!!」
え?炭次郎さん?!
なんか前喧嘩して接触禁止じゃ...?
さすがに行かなきゃ
「炭次郎さんお立ち会いは...」
「紫娜もいたのか!でもこのままだと対立違反で...」
いやだから...
はぁ..疲れることすんのやめよニコ
ん?実弥さんと目があったのに逸らされた..?
気にするほどでもないだろうけど...顔若干赤いし...なんかしたかな?(256pより)
「そもそも接触禁止だろうがァ
先刻から盗み見しやがってこのカスがァ」
それじゃあ私もカスやん
軽く富岡さんに会釈して二人の外野にいる
今日はいい天気ですねぇっとでも言うかのように
富岡さんとわたしの周りはなんとなくふわふわしていた
まぁ富岡さんがそんなこと言うわけないけど
「ふざけてやがる...💢」
え?おはぎ?