第15章 しのぶれど
_______西の錦
柱稽古の前に訪れてればよかった
椿を失った刀鍛冶の里での襲撃場所はすでに
跡形もなくなくなっていた
里を守る使命がある西の錦は里が去るのと同じように全てがなくなっていた
鴉烏が新しい場所を教えてくれたのはつい最近だ
「悠大さん...お怪我は...?」
「あいつに助けられた...」
あいつ...すぐにわかった
あの悠大さんをここまで傷つけられるのは
紫遊佐しかいない
「紫娜 もうわかったろ
東の錦を襲ったのは紫遊佐じゃない
もう憎むのをやめろ」
「憎む?私は「あいつの血鬼術の名前がわかるか?!
________三笠の山に いでし月かも
あいつは...
まだ人なのだ...!
某は...
あの子に助けられた
東を襲ったのはあの子じゃないと
信じ続けた一部がお前にはあったはず!
某はもうあの子を許せる...」
天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に いでし月かも
阿倍仲麿の歌....
故郷を思って詠んだ歌
言いたいことはわかる
悠大さんは泣いていた
もちろん初めて見る
彼もまた憎んでいたんだ
そして
許せたんだ
自分のことを
錦に来たのは割れてしまった面を新しく作るためであったが断わられた
驚いたことに理由としては
"もう錦から解放されろ"ということらしい
でももう
疲れた
私は
ちょっと疲れたな