第14章 嚆矢
童磨さんに言われたところに着くのに1週間がたった
正確には2日で見つけていたけど
童磨さんが言うような家は全てなく
燃えて開けた場所になっていると
気づくのに時間がかかっただけ
燃えていた
全て
だから僕が錦家のひとりだという証拠はどこにもない
でも記憶がある
一部を除いて
複雑だった
消えてよかったと思うべきなのか
そうじゃないのか
自分の中にいる心というものがあるのなら
お前は今どう感じてる?
自分を怖いと思う俺は
どう感じてる?
ただ1つわかったことがある
ここは山奥で
1つの里と言ってもいいところが
丸々焼けたのは
誰かが燃やしたということ
こんな里を知っているものは少ないはずだから
この里の生存者で間違いない
そしてきっとその人が
僕の
顔思い出せない誰かなんだと思う
誰だけ知らないけど
その人に会わなきゃいけない
直感で思ったけど
ちょっと気持ち悪い
ずっと感ばかりをあてにしてる
本当は知ってるのかもしれない
誰なのか
でも鍵がかかるせいで開けられない