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上手に笑えるようになりました【鬼滅の刃】

第14章 嚆矢


「...僕はあなたを殺したくない」


「いいえあなたは私を殺すわ
あなたは優しい人だもの
流産してしまったあの子に私を会わせてくれる
私にとっては小さい神様よ

きっとあの子はあなたに似た子に育ったわ」


何度もせがまれた
私を殺してと
早く殺して
早く死なせてと

僕は初めて怖くなって
いつの間にかこの貴婦人は
血を流して倒れていた


彼女の皮膚に爪がくい込む瞬間

一瞬辛そうな顔をしたあと
僕に微笑んだんだ

檸檬を齧ったときの苦さを
誤魔化すように笑ったんだ



ありがとうと言って



自分がおかしくなったのかと思った
初めて胸の中が酷く寒くなって
痛くて苦しかった



違う 初めてじゃない
前にもあった



彼女は僕を優しい人だって言った
人だと言ったんだ
彼女は人だと言ってくれた




初めて殺した肉を喰わなかった

静かに運んで山の綺麗なところに埋めた

僕はここで彼女の簪を見た






簪なんていくらでもある
でも西洋の服に簪をつけている人は初めて見た

前にも簪をつけた人がいた

思い出せない

頭が痛くなる






僕は彼女の髪から抜き取った簪で
自分の髪を結い上げた



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