第14章 嚆矢
それから1年がたった
この1年で50体以上の人を喰った
それでもまだ満たされない
もう位なんかどうでもよかった
ただ憎い
僕を見捨てた父を
僕の存在を認めなかった兄さんを
僕を守ってくれなかった母を
割り切れずにいる自分を
鬼になった自分を
鏡に映る自分を
家族を愛せなくなった自分を
何度も見てきた
1番お前のことを知ってる
奇妙な長い青髪
服では隠しきれないほどあった痣は
鬼になって消えてしまった
たくさん父上に殴られて
母上にも見放されて
紫遊雅に殺されかけ
┈┈┈に置いてかれた
鬼にならず死ねば良かったのに
本当に死ねば良かったのに
自分が怖い