第1章 出会い
見慣れない街を歩いていると後ろから声をかけられた
「錦様でございますか!?」
なんて懐かしい響だろう
「お久しぶりでございます。大きくなられれて...」
振り返ると決して忘れない顔があった
夕立の暗さでもすぐにわかる
「鹿島さん!!」
面をつけてても気づくのは鹿島さんぐらいだろう
鹿島さんは3年前になくなった錦一族の使用人の1人だった
白髪が目立つ。あれからもう3年がたったのか...
「立ち話もなんですので、孫に会ってくださいな」
本当は行きたくない
幸せそうな家族を見るとなんとも言えない気持ちになる
「お言葉に甘えて、お邪魔します」
面の裏に笑顔がないことを知っていながら涙を流した鹿島に紫娜は気づいていなかった