第14章 嚆矢
______旧錦家
「ねぇお兄ちゃん どうして椿はずっと繋がれてるの?」
違う 繋がれているではなく腕と足、それぞれ四つに管を繋いでいるだけだ
大して時間は食わない
1日1時間 ひたすら血を精製しているだけ
もちろん足りなくなったら隣町の人に提供してもらっている
「どうして名前を教えてくれないの?」
はぁ...なんで俺はこんな子供を...
ただのうるさい餓鬼なのに
何よりも気に食わないのが
いつの間にか僕が、
こいつを心配な自分がいることだ
「お前 飯は食えてるか?」
人臭い
鬼になりきっていない証拠だ
まだ間に合う
でも自分が何をしているのかはよくわからない
「お兄ちゃんこそ食べてないじゃん」
...
...
「ねぇ、紫娜さんの所帰りたい」
何もしていなかった
ただこの子が繋がれている様子を見ているだけで
本当に何も
でも、なんだろうな
なにかが変わった
「紫娜は...誰だ」
「私を妹だって言ってくれたお姉さん」
「お前は錦なのか?
...いや、なんでもない」
この子は西にもいなかった
そうだこの子は違う