第14章 嚆矢
「宇隨さん...ずっと悩んでたこと
少し話してもいいですか?」
本当は話すか迷ったけど
宇隨さんも私が頼ることなんて今までなかったから
驚いてるけど...
「弟が生きていれば...紫遊佐と生きていいと思いますか」
もうあれからどのくらいたったかな?
半年?いや、それ以上?
確かに私はあの時、弟を殺して自分も死ぬと言った
だけど結局私は甘ったれだから
紫遊佐と生きることを願った自分がいるから
もう自分で善と悪が分からないから
誰かに聞きたい
「なんか煉獄の親父さん来ねぇから
暇だしお前んとこの稽古やらせろよ」
え?完全な無視ですか?
「ご自分の稽古はどうなさるんですか?」
急に何を言い出すと思えば...
「まぁなんとかなるだろ」
「何とかって....」
正直柱の方はもう手一杯になっていて
私のところに来てくれた人はいなかったから
ちょっと嬉しかった
話の変え方がものすごく不自然だけど
修行場に来ると昨日から来ていた人や新しい顔がチラチラ見える
だけど気になったのは誰も私の修行をしていないこと
今ここにいる人達はまだ柱稽古が始まって間もない中、ここに辿り着いたわけであって
確かに独断で次に次にと来た人もいるもしれないけど
はぁ...
宇隨さんはやっぱり元柱として青筋が走ってる
「宇隨さん少し待っててください」