第3章 那田蜘蛛山
足を止めた
ここに来るまで何人もの人が亡くなって
いくつかの繭を見つけてきた
繭の中を切っても大抵の人はドロドロに溶けている
間に合わなかった
けど目の前にはたくさん人が宙に浮いている状態だった
「夜の呼吸 壱ノ型 満月」
ドサドサッと落ちていく人達はすでに力尽き亡くなっていた
暗さで見えなかったけど蜘蛛の巣になっていたのだ
「なんだ、気づいちゃったのか」
斬った蜘蛛の巣の奥から子供の鬼が出てきた
「!」
背中を取られたが受け身を取って持ちこたえる
「狼は嫌い!」
危なっ!
鬼は小さい女の子なのに動きが目に追えない
こういう時ほんとお面邪魔!!
深呼吸する
自分の鼓動が聞こえる
すると奥から声が聞こえた
「狼さん...助けて」
か細い声は鬼にも聞こえていた
「夜の呼吸 肆ノ型 月影の盃」
声のする方へ向かう鬼の動きを止めた
間に合った
あの子には間に合った
「兄様に殺される!!」
殺される...?
この鬼にも兄弟がいるんだ
でも人殺して笑ってたあなたを私は許さない
鬼は泣いていた
けど
どどめを刺す
声のする方へ行くと
泣きながら震えている女の子がいた
鬼殺隊ではないようだ