第13章 咲いた花 あとは散るだけ
握った手が振り払われる
でもまた握り返した
一瞬アオイさんが顔を顰める
「なんで...」
本当はずっと怒ってて
ずっと泣いていたんじゃないのかな
気持ちがわからないから
人の気持ちを考える時は自分の過去から探したり
自分が相手の立場になったり
想像力はないから
相手の立場にはなれないけど
私の過去から探したんだ
「知ってるから」
アオイさんが実はそこまで完璧ではなくて
少しだけへまをしていることも
しのぶさんやカナヲさん、炭治郎さんに善逸さん、伊之助さんのことが好きなこと
自分に怒っていても
周りの人を好いている
だから私は
アオイさんの気持ちをぶつけてくれて嬉しかった
片方しかない手は片方しか掴めない
「...」
その手も振り払われてしまうっと思ったら
掴めないもう片方のアオイさんの手が
私の手を握ってくれた
なんであの時片腕を鬼に持ってかれたことを許したんだろう
もし両手があれば
泣いているアオイさんの背中をさすれたのに
「アオイさんがこれからも自分に怒っているのなら
私は何度も話を聞きます」
しゃくりあげて泣く声が少しくすぐったい
「でも自分の中に嫌いじゃない自分もいるはずだから...アオイさん自身を好きでいる自分のことまで嫌わないで下さい」
震えている手はさっきよりも熱を持っている
「あなたがいないと生きれなかった人がいます
その中の一人の私はあなたに感謝しかない
あなたが腰抜けという自分は鬼殺隊の中で
いなくてはいけない大切な柱です」
だんだん言いたいことが溢れてきてごちゃごちゃになってきた
矛盾さえ生じてしまったかもしれない
でも、うん
アオイさんの瞳に少し光が入った