第13章 咲いた花 あとは散るだけ
「今は羽織は暑くて着てられないですけど
錦様は隊服を羽織として着てらっしゃるから...」
そういえば意識したことがなかった
袴の麻の葉文様は母の形見だから
隊服を貰った時も別にいいやと思って
羽織っているだけにしたんだっけ
「隊服が嫌だというわけじゃないんですけど
初めて隊服を貰った時はすごくブカブカで前を閉めてもほぼ空いちゃってたので、それからはずっと袴ですね」
「今は違うんじゃないですか?」
確かに三年前に貰って今は成長期だし
随分変わったかもしれない
いくら袴しか着てないからと言って
ちゃんと隊服は手入れしてきた
「じゃあ今日着てみようかな...」
「まぁ俺らはこれから訓練に耐えられるかが肝なんですけどねぇ...残念ですけどこの中が伊黒様の稽古場所です...」
ここなんだ
二人ともさっきから感情の起伏が激しいな
私も伊黒様は失礼だけど乗り気じゃないんだけね...
「さっきみたいに酷く言う人も言う人もいるでしょうが気にしないで 夜柱としてご活躍を祈っています」
最後まで親切に...
「お二方も検討を祈ります」
今日はここまではいい日だった
残念ながらここまでは