第12章 癒えない傷
「この木の枝はお前が折ったのか」
「え、あ 違います」
「さっき鬼がいたのになぜ斬らなかった」
鬼?
「目隠ししてて...鬼が...いたんですか?
容姿は...銀髪の男の子でしたか...?」
「いや、実際に見た訳では無い
ただ鬼の気配がしただけだ」
感覚の訓練をするはずなのに
私ができていないなんて...
冨岡さんがカチッという音をたてて
刀を鞘をしまう
何事もなかったように
ここにある木は
風に身を任せながら
ただただ葉を揺らしているだけだった
「腕は慣れたか?」
腕?なんのこと...あ、これか
「えぇ もう慣れました」
「そうか」
それだけ?!
まぁこういう方だったな
何となく愛想がないというか
少し苦手なんだよな
「柱になったんだな」