第12章 癒えない傷
「俺も鬼になった家族を殺したんだ」
話してくれると思わなかった
自分のこと
鬼になった母親から兄弟を守るために
母親を殺した
父親が蒸発して
家族を守ろうと
そんなこと小さい頃から
家族を背負ってきたんだ
紫遊佐が鬼になったけど紫遊佐は
家族を殺していないということはわかったけど
父上を鬼に変えた鬼が必ずいる
そして父だけでなく
何人もの人が鬼化していた
その鬼を
父上を
殺した
「...後悔していますか?」
「お前はしてんのか?」
言葉が出てこない
きっと私も不死川様も
後悔していないといえば嘘になる
そしてそれは
数えられる全てのものよりも大きくて重い
痛くて苦しい
「俺はあの時弟全員を助けられなかった
だから残ったアイツだけは守らなきゃいけねェんだ
なのにアイツ鬼殺隊なんかになりやがって...」
「...守りたくて突き放していたんですか?」
「男にこんなこと言わすんじゃねェ
はったおすぞてめぇ」
そんなことしないくせに
誰よりも優しいくせに
「最初は柄の悪い怖い人だと思ってましたが「んだとて」本当はすごく優しくて家族重いのお兄さんなんですね」
「って、てめほんとはったおすぞ」
あァあぁ 耳まで赤くなっちゃって
動揺して同じこと言ってる
かわいいなこの人
あ、やばい
やりすぎたかも
角が見える
「俺様を怒らせるたァいいどきょ」うんよし帰ろう