第12章 癒えない傷
「ただこれは私が当主に頼んだのです」
一番声が震えてた
今までは少しぼやけていたように見えたのに
はっきりとした輪郭になる
「十年前 私は当主を支えていく覚悟をしました
しかし私は一人の母でもあります」
あまね様が真っ直ぐ私を見ながら
涙を流した
長い月日を
ずっと一人で御館様を支えていたんだ
「紫娜さん 近いうちに鬼舞辻無惨がこの屋敷に来ます
その時 当主と私はおそらく死ぬでしょう」
「紫娜さん また何かあったんですか?」
「胡蝶様...」
超屋敷に帰ってきた
どうやって帰ってきたかもよく覚えていない
存在を感じさせなかったせいか
ふわりと耳元で囁いた胡蝶様の声に少し驚く
「紫娜さんは最後まで私を様呼びでしたね」
「え...あ!嫌だったですか?」
ずっとニコニコしてたから
てっきりもうそれでいいのかと...
待って
今なんて...
「冨岡さんや宇隨さんは さん 呼びで
はぁ紫娜さんは私の事を好いてないのかしら...」
「いや!決してそんなこと「あーあ 紫娜さん意地悪だなぁ」」
なんか今日はいつもよりテンション高い?
「胡蝶...さん?」
「甘露寺さんのことは蜜璃さんと呼んでいるのに...」
「し、しのぶさん?」
クスッと笑う彼女はいつもより新鮮で
少し驚いた
「紫娜さんと私は感情を顕にしないところが似ていたと思っていたのですが
いつの間にかそんなことはなくて
私が言うのもなんですが
成長しましたね 紫娜さん」
あぁ テンションが高いのかと思ってたけど違うんだ
でも何が言いたいのか分からない
「しの...「以前、私に姉がいた事を話しましたね カナヲにもこれから言うのですが、今度は姉を殺した鬼の倒し方をお話しましょうか」」