第12章 癒えない傷
「当主も私もあなたに鬼舞辻無惨と
戦って欲しくないと思っています」
「お言葉ですが言っている意味がよく分かりません」
もちろん御館様には救われたし柱として認められていることは嬉しい
けど違う
私は子供の頃から鬼殺隊になるレールが敷かれてきて
必死にその上を走ってきた
途中で家族のことがあったけど
鬼舞辻無惨を倒せるなら
柱という最前線で戦ってはダメなの?
「錦家とはあまり接点はなくとも
深く関わってきた繋の一つです
そしてそれは次に戦いが終わっても
この先長く続く縁でもあります
産屋敷鬼殺隊本部として
もしも次の戦いで鬼舞辻無惨を倒せなかったとき
真っ先に狙われるのは次期当主である
ここにいる産敷輝利哉です」
黒髪の子
椿とは何ら変わりもない年頃の子
なのに目線はしっかりとしているし
大人のような振る舞いをする
でもそれは外見だけで
瞳の奥はまだ子供のようだ
「つまりもしも鬼舞辻無惨を倒せなかったときに
産屋敷輝利哉様をお守りしろということですか」
「...そうです」
御館様は何としてでもこの戦いで終わらせるつもりだ
そしてそれは鬼舞辻もそうだ
まだ柱として私は未熟なのに
私は...
「それは錦家だからということですか?」
別に嫌という訳では無い
ただこれに血筋が関係しているのなら
少し気が引ける
快く任務につけない
「それもあります
ただこれは私が当主に頼んだのです」
え?