第12章 癒えない傷
「実は椿は鬼になりかけてたんです」
帰り道
さすがにもう担がれることは無かったが既に夜になっている
鬼の出現がないからと言って
油断ができるわけではない
「通常の鬼とは違って少しずつ進行していくんです
呼吸を使って鬼を探した時、椿はもう鬼の気配でした」
以前珠世さんから手紙が届いた
禰豆子ちゃんが太陽を克服する日が近いこと
禰豆子ちゃんのおかげでアルさんの症状が回復してきたこと
ただし椿は分からないことが多くて禰豆子ちゃんの血があったとしても未だに解決できる道がないこと
「お前本当に重ぇもんしょってきたんだなぁ」
まただ
また宇隨さんの手が頭に乗る
大きい手のひら
少し髪をぐちゃってされるけど
ただ撫でられるよりは
気が許せる
「どうしてこんなに付き合ってくれたんですか
かのご多忙な宇隨様が」
「てっめ...後でどうなっても知らねぇからなぁ...
はぁ...お前のこと 煉獄から頼まれてたんだよ
確かにお前は強いし実力以上のもんもあるけど人に頼れねぇお子ちゃまだからこの俺様が...」
懐かしい気配を感じて後ろを向くと
案の定なんにもないけど
確かに心がじんわり温かくなって
煉獄さんがいつもの真っ直ぐな目で
笑ってくれてる気がした
「本当は面倒見いいんですか?」
「黙っとけ餓鬼が また担がれたいのか」
なんでだろう
さっきあんなに泣いたのに
なんかくすぐったい
「祭りの神が子供をいじめていいんですか?!」
「💢」
この後二人に何があったかはご想像にお任せします