第12章 癒えない傷
急に足の力が抜けて膝から落ちる
ふいに背中に手を置かれて振り向いてみた
「できたか?納得いくまで」
「やっぱり期待しなきゃよかった
私が見てなかったからだ
一緒に過ごすなんて甘かったんだ」
椿の生死が分からないから
根拠のないことは考えたくない
もうわかんない
「今回はあのチビが死んだっていう証拠がねぇ
だからって生きてるかわからねぇけど
お前はこれでケジメつけられるんじゃねぇか」
今まで鬼を倒せても全員を救えたわけじゃない
この世界は甘くない
「はぁ...こういう時ぐらい甘え方覚えとけよ
ほら 胸貸してやるから」
一瞬だった
右手を引っ張られて
宇隨さんの手が頭の上に乗る
「お前泣くのも下手かよ...もっと派手に泣きゃぁいいだろ」
「...うるざいハゲ...」
前まではしっかり椿について向き合えていなかったから椿と一緒にいた日々を思い出せなかったけど
不思議なことに
涙が出る度に思い出が浮き上がってくる
「お前も泣くと目 赤くなるんだな」
「どうゆうことですかぁ」
気に食わない
宇隨さんのおかげで
こんなに気持ちが落ち着いたことが
お礼を言いたいけど
柄にもないから
素直になれない私を見て
あのハゲは笑いを抑えてて
無性に腹が立つ
「宇隨さん...その...あ、ありがとうございました」
?!
なんでこんなに沈黙が続くの?!
宇隨さんもも私を見てすごい驚いてるし
「わっはっは...!
派手に泣いたと思えばお前お礼とか...
ちゃんとしたことも言えんだなぁ わっはっは...」
顔が熱くなるのが分かる
そりゃお礼ぐらい言えるわ!
むかつく!!
「うっさいハゲ「おーっと誰かのせいで着物が濡れたなぁ...」...むかつく...!!!」
それ以来
尊敬の意を込めてハゲと呼ぶようになったのは
また別の話である