第12章 癒えない傷
右手をつかまれた延長で肩に担がれる
鬼殺隊を辞めても
足の速さは衰えていない
どうしてこんなことするの
ほおっておいて欲しいのに
訳が分からない
頭が痛い
「おい、ここだろ?錦家ってのは
お前の叔父とはちょっと縁があったんだ
まさか親戚とは思わなかったけどな」
ずっと担がれていたせいでお腹が痛い
少しだけ目も回る
でもここまであっという間だった
「どうして宇隨さんも来たんですか」
「どうでもいいだろそんなことは
さっさと行けよ 用があんだろ」
事の進みが早すぎて話についていけない
宇隨さんが気に食わないけど
敷地内に入る
刀鍛冶の里はもう場所を変えたらしい
それに伴って錦家も場所を変えたことは耳に届いていた
以前まであった屋敷はもぬけの殻で
置かれていた家具はなく以前より広々と感じる
廊下の至る所に血が少し掠れたような跡がある
あの時は悠大さんしか見つけられなかった
もっと早く来ていれば紫遊佐に会えたかもしれない
一つ手紙が置いてあった
畳の緑色に一点だけぽつんと白い封筒あった手紙はすぐに見つけられた
手紙は私宛だった
家が移動したことと
全員無事ということ
よかった
うん
よかった