第12章 癒えない傷
「...私はあの時なんにも出来なかったから...」
ずっと下を向いていた玄弥さんと
笑顔で話を聞いてくれている炭治郎さんと目が合う
淀みがない澄んだ目
いつの間にか上弦の鬼を倒していて
いつの間にかベッドで寝ていた
胡蝶様から聞いた話によると
時透様や蜜璃さん、刀鍛冶の方も含めて
みんなで捜索してくださったそうだ
私が見ているはずだったのに
私が外に出なければよかったのに
そんな後悔が今でも悪夢として襲う
「...もっと俺が早く気づければ良かったんだ
俺がもっと...」
「いいえ...それでも椿のために皆さんは尽くして下さった...私以外...
とりあえずお二人はよく休んでくだい
私はちょっと用事に行って来るので」
気まずい雰囲気にしたのが私なら
雰囲気を変えるのも私だ
このままだったら炭治郎さんの後悔が深まっちゃう
そんなのは
私だけでいい
「紫娜...俺...
いや なんでもない」
あの瞳 知ってる
誰がしていたかはよく覚えてないけど
ちょっとの悲しみとかなりの失望
でも私はなんて声をかけたらいいか分からない
分かるけど、
私の中に[玄弥さん側]も[実美さん側]もいる気がする
「ま、待ってくれ紫娜!
はっきりとは言いきれないけど
椿が鬼に喰われた確証はないんだから
信じていればきっと...」
は