第11章 弓を引き 雫を穿つ
後ろを向くと斬ったはずの鬼は
形を成さず、ほろほろと崩れておらず
人の血肉を欲し、里の人に襲いかかろうとしていた
止めにかかろうとしたところで朝日が差し込み
何かが焼けていく匂いがした
______ジュウッ
「ギャッ!!」
「禰豆子!」
陽光から肌を守るために禰豆子に覆い被さる炭治郎
しかし半天狗は里の人を襲おうと前へ進む
蜜璃を含め 無一郎、玄弥も
崖の上である
______ドカッ
禰豆子の目は兄と同じように優しく暖かかった
覆い被さる炭治郎を蹴り飛ばし
半天狗を追わせる禰豆子に追い詰めるように陽光がさす
禰豆子の鬼殺への想いを受け
着地すると
半天狗を倒すことに意識を集中させる
(嗅ぎ分けろ、遠くには逃げていない。
本体が、いきなり遠くへ離れていたら 匂いで気づいたはず、近くにいる
どこだ、匂いで捉えろ、形を、色を)
______ジュワアァ
同じく陽光に焼かれてはいるものの
人を襲おうと里の人は混乱に満ちていた
(そこか、まだ鬼の中にいるな...そうか。
もっと、鮮明にもっと...もっと)
(見つけた、心臓の中)
加速していく集中力
里の人に手をかけた鬼の腕は即座に斬られる
(今度こそお終いだ、卑怯者、悪鬼!!)
「うわあああ、駄目だ、駄目だ!!
追い付かれ・・・」
「ギャアア」
──ドンッ
「命をもって罪を償え!!!」