第11章 弓を引き 雫を穿つ
一方、腕を引きちぎられたことにより落ちていた半天狗はよろよろと起き上がり
再生もしないまま林の中へ逃げようとしていた
(まずい、再生が遅くなってきた
“憎珀天”が、力を使い過ぎている...人間の血肉を補給せねば...)
「待て」
「逃がさないぞ...
地獄の果まで逃げても追いかけて
頸を斬ってやるからな...」
炭治郎の怒り そして今まで鬼に喰われた人を想う悲しみでその言葉は半天狗を身震いさせた
引っかかっていた木からずり落ち
逃げようとする半天狗を追いかけようとした時
炭治郎の足元に何かが刺さった
______ドスッ
「炭治郎、それを使え!!」
無一郎が投げた刀は鋼鐵塚が必死に守り抜き
研いでいたものだった
「返せ、ふざけるな殺すぞ使うな、第一段階までしか研いでないんだ、返せ」
小鉄に紫娜を任せ
無一郎に殴りかかろうとする鋼鐵塚を鉄穴森が必死に押さえつけようとする
刺さった刀を手にし、半天狗に迫った
「______円舞一閃」
刎ねた頸は宙を舞い、重重しく地面に落ちていった
漆黒のごとく闇に包まれていた夜は
いつの間にか朝日がさしていた
(夜が明ける!!
この開けた場所はまずい、禰豆子、逃げろ・・・)
「ゲホッ、カハッ」
(うっ!!声が出ない)
そんな炭治郎の元に禰豆子は駆け寄ろうとしていた
(違う!!禰豆子、こっちに来なくていい
お前だ、お前なんだ危ないのは、日が射すから)
「禰豆子!!逃げろ...!!日陰になる所へ」
「ううう、ううう!!」
「!?」