第11章 弓を引き 雫を穿つ
無一郎たちが鋼鐵塚から逃げているころ
炭治郎達は上弦の肆を追いかけていた
「雷の呼吸って一番足に意識を集中させるんだ
自分の体の寸法とか筋肉一つ一つの形ってさ
案外きちんと把握できてないからさ」
団子を頬張りながら教えてくれる善逸は
いつもよりどこか頼もしかった
「それら全てを認識してこそ本物の全集中なりって
俺の育てのじいちゃんがよく言ってたなぁ」
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(できるかできないかじゃない
やるかやらないかだ
筋肉の繊維一本一本
血管の一筋一筋まで空気を巡らせる
力を足だけに溜めて
一息に爆発させる
空気を引き裂く雷鳴みたいに)
右足だけに集中して
一気に放つ
一瞬で禰豆子と玄弥を追い抜き上弦の肆に間を詰めた
半天狗の頸に刀が食い込むが
頸は斬れず
刀に力を込めるが半天狗が反転し
攻撃に転じる
「お前はああ、儂がああああ、可哀想だとは思わんのかァァァァア!!!」
巨大化した半天狗に驚きを隠せないまま
半天狗は炭治郎を掴み握潰そうとする
「弱いものいじめをォ、するなあああ!!」
だんだんと強くなる力に
肺が圧迫され声すら出せなくなり
直ぐに禰豆子の爆血と玄弥の力で半天狗の腕を引きちぎる
「テメェの理屈は全部クソなんだよボケ野郎がァアア!」
(まずい、この火は俺も燃える、鬼を喰ってるから・・・)
爆血により玄弥は追撃をすることが出来ず
頸に食いこんだままの刀を離さなかった炭治郎は禰豆子諸共崖に落ち、木にひっかかってしまった