第11章 弓を引き 雫を穿つ
いつだって無理してた
でも必ずそれが無理って訳じゃなくて
我慢だったりするけど
無理し始めたのは今に限ってのことじゃない
左腕だって本当なら無くさずにすんだ
「私の華麗なる本気を見るがいい!!
血鬼術─斬殺魚鱗」
「さぁどうかね、私のこの理に反した動き
鱗によって自由自在だ、予測は不可能
私は、自然の理に反するのが大好きなのだ。
お前は、どのように料理してやろうか、醜い頭をもぎ取り、美しい魚の頭を付けてやろう」
プツンと私の中で
何かが切れる音がした
「...本気? あははっ 笑わせるよね
自分の力に酔いしれて...可哀想な人」
「なんだとこの...」
______夜の呼吸 肆ノ型 月影の盃
______霞の呼吸 漆ノ型 朧
霧に姿をくらませて
現像としての錯覚が起きる
鬼が何度も振るう爪は
空を引っ掻きながらも
全くの手応えを感じてないようだ
(どういうことだ!?奴はどこへ行った!?これではまるで、まるで、霞に巻かれているような・・・)
あれ
駄目
足が動かない
さすがに限界か
肺が...
ここまで来たのに
駄目なのに
「___ガハッ...!」
「いたぞぉ!そこかぁ!!」
(あの餓鬼、やっと姿を見せた。
早くカタをつけて、無惨様に報告せねば・・・)
あれ
斬られてない
瞼が重くて目が開かない
けど
時透様の背中...
「お終いだね、さようなら。
お前はもう二度と、生まれてこなくていいからね」