第11章 弓を引き 雫を穿つ
空気が少し変わった
朝が近づくにつれて気温が下がっていく
冷えた空気は肺にとっては冷たすぎて
気管が低音火傷している
この空気が時間をくれた
絡まった糸がピンと張り詰めて
私と何かを結びつけてくれている気がする
ずっと考えていた
煉獄さんが亡くなって
家族がなくなって
私の心は壊れた
やっと心と向き合えるようになった今
ずっと恐れてきたこと
次に何かを失った時
私はどうなるんだろう
怖くて痛くて恐くて生きたくて
ねぇ紫遊佐
私はどうなるんだろう
紫遊佐はどうして待ってくれなかったの?
私が最終選抜に行く時
武運を祈るって言ってくれたのに
なんで私を連れて行ってくれなかったの?
沢山あるの
紫遊佐に聞きたいこと
今一番知りたいのは
どうして私を殺そうとしないの?
気管が血の味がする
また糸が絡まり始めた