第11章 弓を引き 雫を穿つ
鬼の数が一向に減らない
里に響き渡る鐘の半鐘の音
逃げ惑う人達に鋭く鬼の爪が走る
一人 鬼に追い詰められている刀鍛冶さんがいた
鬼による傷なのか足は流血し、その足を引きずっている
鬼を斬ると頭を下げその場から逃れようとしているが両手は何本もの刀を抱えるのに塞がれていた
そんな姿で到底自分の身は守れまい
「今は刀よりも自分の命を...「刀は命よりも大切なんだ!!!」」
「この刀は何百年も受け継がれてきたんです...
刀を受け継がなきゃ...鬼は殺せない...!」
真っ直ぐな強い意思
自分の命よりも大事なこと
「私のことは放っておいて他の人を...「ビリリ!!」」
左腕の袖を口で裂く
どうせない腕には邪魔だ
羽織として使ってる隊服の袖さえあればなんとかなる
「この布で足を巻いてください」
驚いた顔にはもう慣れた
この国は差別が酷い
左腕を無くしたことで卑しく見てくる人だって沢山いる
でも隠したところでどうにもならない
邪魔なものは邪魔なだけ
「早く背中に乗ってください」
「え!?」
「人を守れずして何が鬼殺隊...
鬼殺隊はあなたがた刀鍛冶がいなければ成り立つことは出来ません
あなたが刀を守るという使命を全うするのと同じように 私もあなたを守るという使命を全うするだけの話
さぁ早く!できるだけ足を動かさないでください!!」