第11章 弓を引き 雫を穿つ
それから不死川さんと椿と私の三人で過ごすことが多かった
最初は話す度に顔を赤くしていたけど
だいぶ慣れてくださったみたいで
今では最初だけ少し赤くなる程度になった
いつも私と椿でしている練習も
不死川さんと一緒にやると体格も全く異なるし、動きも違うからいつもより濃い練習になる
「俺は鬼殺隊だけど才能がねェんだよ」
え?
才能?
「頑張って特訓して体術がどんなに身についても
日輪刀の色が変わんなかった」
不死川さんと話してから一週間ほどたった
炭治郎さんは機会?と戦ってるみたいで
柱がいるっていう話も聞いたような聞かなかったような...
ただ今となりで話してくれてる不死川さんが
初めて自分のことについて話してくれた
「紫娜はすげぇよ 俺より2つも歳下なのにもう甲なんてよォ」
笑ってる
笑ってるけど悲しい音がする
[努力は裏切らない]
こんな残酷な言葉
誰が作ってんだろう
たったこんだけの文字数で結果が出るようになるわけがない
"甘えることなく誰よりもした"努力は
裏切らない"こともある"
「手 見せてください」
返事もしないうちに片手にとって手は
ゴツゴツしてて私なんかの手よりもずっと大きい
日輪刀の色が変わらなかったと言ったけど
手の皮が固くなっているのは
きっと何百回も刀を振ってきたからだと思う
私は敷かれたレールを走ってきただけ
不死川さんに何も言うことが出来なかった