第11章 弓を引き 雫を穿つ
「南西ノ森 鬼アリ 錦 紫娜 直チニ向カエ討ツベシ」
宇髄さんの所を訪れてから一ヶ月が経って
何度か指令が来るようになった
以前と変わったのは椿を連れていくようになったこと
昼間は心配だけど夜なら日に焦げることはまず無い
鬼との実戦を交えながら
椿に身につけてもらうのは敵の動き
ずっと父上に言われていたことを
いつか自分が誰かに伝えるなんて思ってもみなかった
"相手の癖を見つける"
"習慣と癖は違う"
私がいなかった間も炭治郎さん達や胡蝶様のおかげで身のかわしや体の使い方は優れている
実戦から敵の動きを感じてどう戦うべきか
どう呼吸するべきか
そこで初めて自分から攻めることが出来る
ただ、やっぱり人に教えるのは向いてなくて
観察させるよりも倒すことに意識がいっちゃうし
自分は自分で守らせようと思ってもついつい手が出てしまう
兄さんだったら教えるの上手かったんだけどな
「夜の呼吸 惨ノ型 子守唄」
「今日はいつになく早く終わってしまった...」
「大丈夫だよ 椿は今日ちゃんと避けられたし」
違和感を感じるのは
片腕を無くしたことで生まれた安定感なんだろうな...