第11章 弓を引き 雫を穿つ
「色々勘違いしてすいません...
でもそれなら宇髄さんは三人もの優しい方々の
支えがありますし、きっと強い励みですよ
まきをさん...大丈夫ですか?」
強くて少し荒っぽい性格かと思って
苦手意識持ってたけど
目の前にいるのは
自分にとって大切な人を思う一人の女性だった
目に涙を浮かべるまきをさんは
か弱いというよりも
芯の強さを感じた
聞いた話では上弦の六の鬼がいたらしい
きっと大変な戦いだったはずだし
未だ炭治郎さんは目を覚ましていない
「あたしたち...三人とも一緒に戦ってたけど
それでも...天元様を守れなくて...」
「宇髄さんが羨ましいです」
「え?」
「奥方にこんなにも愛されていて
私は大して宇髄さんについて存じ上げませんが
まきをさんを見ていると、宇髄さんが奥方をとても愛してらっしゃることがが分かります。
まきをさんは宇髄さんを守れなかったと
仰いましたが、宇髄さんは愛する奥方を守れたことを誇りに思っているはずです
そんな泣かないでください!
大丈夫ですよ
宇髄さん図太いですし」
「ありがとう...錦...
あんたのおかげで落ち着いたよ!
あんたもまた来いよ!」
小さく会釈すると走り去ってしまった紫娜を見つめるまきを
「勘違いでここまで言う人初めて見た...」
紫娜の後ろ姿を見送ると一人、小さく呟いた