第11章 弓を引き 雫を穿つ
「あんたも片腕が...
初めまして あたしはまきをって言うんだ
本当にあたしは天元様の妻さ」
こんな派手に煩い人にここまで優しくしてあげるなんてなんて優しいんだろう...
「初めまして 以前宇髄さんと稽古を共にした錦といいます 本当にお優しい方なんですね」
「?」
「お前まだなんか勘違いしてるんだろ
まぁいい そういえばお前んとこのチビは元気か」
チビ?ああ、椿のことか
みんな餓鬼とか言ったりチビとか言ったり...
「椿は...まだ分かりません」
鬼として生きれるのか
人として生きれるのか
「お前...まぁ俺と互角なんだから頑張れよ
なんかあれば頼れ」
こんなこと言える人だっけ
「やっぱりどこか悪いんですか?頭とか」
「さっさと行っちまえ」
「錦!ちょっと待ってくれ!」
おおぅ呼び捨て?!
門を出ようとしたところで呼び止められる
「こんなこと聞いちゃ悪いが...その...
やっぱり片腕無くすと辛いか?」
まきをさん? だよね
「確かに衝撃でしたけど周りの方のおかげで平気です
あの、 宇髄さんの妄想に付き合うの、大変でしたら付き合いましょうか?」
「妄想?...あはははっ! あんた本当に面白いな!
私は本当に天元様の妻だよ!」
え?...ちょっと待って 私本当に勘違いしてたの?!
「私の他にも雛鶴と須磨ってのがいるんだ」
どうしよう...なんであんな人に?と聞いてみたい...
まぁいい性格してる方だもんね...
きっとこの奥方はみんな優しいんだ うん そゆことにしよう