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上手に笑えるようになりました【鬼滅の刃】

第11章 弓を引き 雫を穿つ


湿った空気
外は晴れている
もうそろそろ鎹烏が司令を運んできてもいい頃だ

だけどこの部屋に二人
静かに流れる時間は
ものを言わず
ただひたすらに流れていくだけ

「椿 鬼になるの?」

目の前に座っている椿に全てを話した
椿が鬼になってきていること
それが普通の鬼のなり方とは違い いつ完全な鬼になるか分からないこと
自分がいつか人を殺してしまうかもしれないこと




「今からでも椿が珠世さんのところがいいって言うなら私は...「いや!!」」


まだ慣れていないせいか、髪の上部が簪で浮ついている
椿は笑っていながらその目には涙が溢れていた


「椿 鬼になってもいい子でいるからさ!
頑張って強くなるからさ

私を置いてかないで...!!」


涙は鬼になるかもしれないという恐怖から生まれたものではなかった

私はその事が嬉しくて
悲しくて
悔しくて


「約束する...!
私は必ず椿と一緒にいるから
鬼になってもそれは変わらないよ」



まだ何もわからなかった
鬼の血が混ざっている状態がどんなものか
瞳孔も爪も
まだ人としての形を成している

私の中で泣く小さい子を守る
一つの生きる理由だった

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