第10章 鬼と花
一方その頃
「珠世様どうするのですか?
いくら珠世様がお優しくてもこれ以上人にお節介を焼くのは珠世様の負担になります!
あの醜女さえ来なければ...」
「愈史郎!」
「冗談です!」
深いため息をつくのは
愈史郎の口の悪さだけではなく
状況が少し変わったからだ
「紫娜さんとお話してから考えていきます
帰ってきたら二人の血をもう一度頂きましょう」
昨夜、起きている時より気づかないうちにと、
紫娜の了承を得て椿の血と紫娜の血を少し分けてもらった
ただ一つ信じ難いことある
信じ難いことを調べるが故に
彼女達を外に行かせたが、早く帰ってきて欲しい
というのが珠世の本音であった
「ナンノハナシデスカ?」
「お前には関係ない!だいたいもっとまともな言葉を喋れ!」
「コレダケ ハ ジョーズ ニ イエマス!」
「なんだ、言ってみろ」
「くたばれ」
その言葉を聞いた瞬間、珠世と愈史郎は
何かを悟ったような顔つきをする
滲み出る柔らかい雰囲気とは裏腹に
口から出た言葉は
カタコトではなく
とても流暢なものだった
「シンセツ ナ ニホンジン オシエテクレマシタ!」
誰でも察することはできた
きっとこれは親切心じゃないと