第10章 鬼と花
目覚めると朝になっていた
部屋には誰もおらず、
診察室にも誰もいない
本当に誰もいない...
「紫娜さん みんな地下にいるわ
すぐいらっしゃい」
よかったぁ...
私だけかと思った
「おほようございます」
「紫娜さん 私たちは食事する必要が無いから椿さんと外に行ってらっしゃい
後でお話したいことがあります」
お話したいこと?
「では...行ってきます」
少し昨日と違った印象をうける
席を外してもらいたいと言った感じ
何か不都合があったのかな
というよりも私たちはもうこれで任務完了?
「椿 口についてる」
久しぶりに二人で食べるご飯に
ちょっと贅沢をした
西欧からきたサンドウィッチを口にするには
椿ははじめてだったみたい
二枚のパンから溢れそうな卵は椿を笑顔にするには充分だった
「珠世さんなんかあったかね」
え?
珠世さんが何かあったとしても
そんな気配を七歳の子が嗅ぎ取れるとは
「椿はそう思うの?」
「ゆしょうがなんかびっくりしてた」
「愈史郎さんね 呼び捨てにしないの
まぁこんなに可愛いのに餓鬼とか言う人だから気にしないだろうけど」
昼間は鬼がでない
そのおかげで気が弛める
「何かほしいものある?」
「欲しいもの?」