第10章 鬼と花
突き刺さるような痛みは前からもあった
私の中にいるもう一人の私が
心臓を針で突き刺している
だんだんぼろぼろになってきた私の心は
もうくたくたに壊れていること
あなたが一番知っているのに
"生きるなんてダメだよ
なんのために生きてんの?
さっさと死ねば良かったのに
人の期待からも錦の血からも逃れられて
嗚呼でも死ねないのか
死ぬ勇気すらないものね!
火の中で死ねば良かったのに
左腕と一緒に喰われればよかったのに"
"黙れ"
"自分自身に抗えるとでも思ってんの?"
"あなたをこんなにぼろぼろにさせてしまってごめんなさい"
想像していた言葉と違ったのか
息を呑んだあなたは
驚いたような顔をして私を見る
長い銀髪に
身長に目鼻
鏡のように
目の前にいるあなたと私の違うところは
左腕があることと
何も映らないような不審な目だった
そう
いつも逃げてた
その度に
心の あなた がぼろぼろになって支えてくれた
いつもいつも支えるには
少し辛くて
いつの間にか
心と私はすれ違ってた
望んだことをあなたはしてくれた
だから雨のような針で私の心臓を突き刺した
そうやって死のうとした
もっと早く強くなっていれば
あなたはその雨の中をぼろぼろになってまで
傘をさすことはなかったのに
本当にごめんなさい
そしてありがとう
"あなたと一緒に生きたい"