第10章 鬼と花
さっきより落ち着いた様子の男性は
手を伸ばすと恐る恐る手をのせてくれた
伸びた爪、大きくなった体、縦に光る青い瞳
ただ鬼ではない
手は暖かく
人としての理性がある
「あなたは鬼を殺さないんですか?」
「心は人です...この人を殺人犯にしたくない...!」
振り返ると着物を着た女性と色白な男性がいた
炭治郎さんに禰豆子ちゃんが鬼になった時のことをもっとよく聞いていれば上手く対処できたかもしれない
「あなたも鬼になった者を人と言い
救おうとしているのですね」
「また鬼狩りと関わるのですか?!前みたいになるのはごめんですよ?!...冗談です!」
夫婦?...にしては男性が若いように見える
ただ感じるのは二人とも紛れもなく
鬼だ
でもここで時間をとるわけにはいかない
「お願いします この人を助けたい...!」
「椿...今から移動するから起きて」
肩を叩くとすぐに目を覚ました
「どこ行くの?」
目を擦っている椿を背負い藤の家紋の家を出た
男性に貰った目の模様が書かれている紙のおかげで向かうべき場所はわかる
先ほどの男性を二人は助けてくれると約束した
鬼の容姿だったけど
あの二人も心は人なのかもしれない