第10章 鬼と花
片手で押さえるのは大変で周りの人は面白そうにこちらを見るか、慌てふためいて、その場を動けなくなってしまったか
何れにしてもこの人を運ぶのにはそう時間はかからなかった
街路灯から離れ、モダンな造りの橋の下は暗く、隠れるぐらいならちょうど良かった
警官が叫びながらその橋をかけていくのが聞こえる
きっと私たちを探している
けど油断はしてられない
いくら人を襲っていなかったとしても
飢餓状態になっているため
今にも襲ってきそうだった
距離を取り、
橋の影から出てきたのは
驚いたことに
顔の彫りが深く、目や髪の色素が薄い
さっきの男性だった
外国でいう鬼は食屍鬼になる
両手で頭を押さえ、酷く混乱していた
「......Run away...Run...away」
逃げろ?
逃げろってことはまだ理性は保てている?
駄目だ
迷ってられない
けどこの人は殺しちゃいけない
「Keep reason!Don't be afraid!
(理性を保って!大丈夫だから)」
※訳は正しくないです
もしこのまま理性を保てれば
禰豆子ちゃんのように生きれるかもしれない